仏壇・仏具
仏具の名称と役割一覧 三具足・五具足の違いと並べ方
公開日: 2026年7月22日 / 執筆: 葬儀・法要のしきたり事典 編集部
仏壇に置く仏具の名称と役割を一覧表で解説します。三具足と五具足の違いと並べ方、りん・仏飯器・過去帳など各仏具の使い方、浄土真宗や曹洞宗など宗派ごとの違い、購入時の価格帯の目安、真鍮や漆のお手入れ、開眼供養との関係まで分かりやすくまとめました。
仏壇に置く仏具の基本は、香炉・燭台・花立の3点からなる「三具足(みつぐそく)」です。改まった法要の際には燭台と花立を一対にした「五具足(ごぐそく)」の形に整えます。この記事では、三具足・五具足の違いと並べ方、りんや仏飯器など主な仏具の名称と役割、段ごとの配置、宗派による違い、価格帯の目安、お手入れ、開眼供養との関係まで順に解説します。
仏具の基本となる三具足と五具足
三具足とは
三具足は、仏壇の飾りの中心となる次の3点を指します。
- 香炉(こうろ): 線香や焼香のお香をたく器。香りをお供えします
- 燭台(しょくだい): ろうそくを立てる火立。灯りをお供えします
- 花立(はなたて): 生花や常花を供える花瓶。花をお供えします
香り・灯り・花は仏さまへの基本のお供えとされ、この3点さえあれば日々のお参りの形が整うと考えられています。並べ方は、一般に中央に香炉を置き、向かって左に花立、右に燭台を配置するとされています。ただし宗派や地域によって配置や器の呼び方が異なる場合があるため、菩提寺の作法があればそちらを優先しましょう。
五具足との違いと並べ方
五具足は、三具足のうち燭台と花立をそれぞれ一対(2つずつ)に増やした5点の組み合わせです。並べ方は、中央に香炉、その両脇に燭台一対、いちばん外側に花立一対を左右対称に配置します。
- 三具足: 日常のお参り向けの基本形
- 五具足: 年忌法要・お彼岸・お盆など、改まった場面での正式な形とされる
仏壇の幅が狭い場合は、無理に五具足をそろえず三具足のままでも差し支えないとされています。最近の小型仏壇(モダン仏壇)では、三具足を基本とする家庭が多く見られます。
主な仏具の名称と役割(一覧表)
三具足以外にも、仏壇にはさまざまな仏具が置かれます。名称と役割を一覧表にまとめました。すべてをそろえる必要はなく、宗派の作法と仏壇の大きさに合わせて選ぶのが基本です。
| 名称 | 読み方 | 役割 |
|---|---|---|
| りん・りん棒 | りん・りんぼう | 読経の始まりや区切りに鳴らす鳴物。りん棒で縁を打って澄んだ音を出す |
| 仏飯器 | ぶっぱんき | 炊きたてのご飯を盛って供える器。朝に供え、時間が経ったら下げる |
| 茶湯器 | ちゃとうき | お茶や水を供える器。仏飯器と並べて使う |
| 高坏 | たかつき | 菓子や果物をのせて供える脚付きの台。半紙を敷いて使うことが多い |
| 過去帳・見台 | かこちょう・けんだい | 故人の法名(戒名)・俗名・命日を記す帳面と、それを載せる台 |
| 木魚 | もくぎょ | 読経のリズムを整える打楽器。ばい(撞木)で打つ |
| 線香差し | せんこうさし | 火をつける前の線香を立てて保管する筒 |
| マッチ消し | まっちけし | 使用後のマッチ棒を入れる小さな器。安全のために置く |
| 常花 | じょうか | 蓮をかたどった金色などの造花。枯れない花として花立に飾る |
| 瓔珞 | ようらく | 仏壇の上部から吊るす金色の飾り。仏さまの世界の荘厳を表すとされる |
| 吊り灯籠 | つりどうろう | 仏壇内部を照らす吊り下げ式の灯り。ご本尊を明るく照らす |
このほか、日々のお参りでは線香を入れる香炉灰、ろうそく消し、経本や数珠を置く台などを使うこともあります。
ご本尊・脇侍と配置の基本
ご本尊と脇侍(掛け軸・仏像)
仏壇の中心は仏具ではなく、最上段中央に安置するご本尊です。ご本尊は仏像または掛け軸の形式で祀り、その左右に宗派ゆかりの高僧や仏さまを表す脇侍(わきじ・脇掛)を掛けます。ご本尊と脇侍の組み合わせは宗派ごとに決まっているため、購入前に自家の宗派を必ず確認しましょう。掛け軸と仏像のどちらでもよいとする宗派が多いですが、浄土真宗では本山から授与される絵像(掛け軸)のご本尊を勧める考え方があります。
段ごとの配置の考え方
仏壇は上の段ほど尊いものを置くのが原則です。一般的な三段構成の考え方は次のとおりです。
- 最上段: 中央にご本尊、左右に脇侍。位牌を祀る宗派では、ご本尊より一段低い位置か左右に位牌を置く
- 中段: お供えの段。仏飯器・茶湯器を中央寄りに、高坏や供物台を左右に置く
- 下段(最下段): お参りの道具の段。三具足(または五具足)を置き、手前の経机などにりん・木魚・線香差し・マッチ消しを配置する
位牌をご本尊より高い位置に置かない、香炉は足が3本のものは1本を手前に向ける、といった細かな作法も一般に知られています。仏壇の段数や奥行きによって置けるものは変わるため、優先順位はご本尊、三具足、りん、仏飯器・茶湯器の順で考えると整理しやすくなります。
宗派による仏具の違い
仏具は宗派によって種類・色・形が異なります。特に浄土真宗は他宗派と異なる点が多いため注意が必要です。
浄土真宗(本願寺派・大谷派)
浄土真宗では位牌を原則として用いず、過去帳や法名軸で故人を偲びます。また読経に木魚を使わず、りんを中心に勤行するのが一般的です。線香は立てずに折って寝かせる作法でも知られています。同じ浄土真宗でも、西の本願寺派と東の大谷派では仏具が異なります。
| 項目 | 本願寺派(西) | 大谷派(東) |
|---|---|---|
| 仏具の色 | 黒みがかった宣徳色(せんとくいろ)が基本 | 金色に磨いた真鍮製が基本 |
| 燭台 | 宣徳色の燭台 | 亀の上に鶴が立つ鶴亀燭台が特徴 |
| 花瓶(花立) | 宣徳色の花瓶 | 金色の花瓶 |
| 打敷 | 三角形(紋様は寺院・地域による) | 三角形(紋様は寺院・地域による) |
打敷(うちしき)は仏壇の卓に掛ける荘厳用の布で、浄土真宗では三角形、他の多くの宗派では四角形のものを使うとされています。本願寺派の公式解説では、三具足に加えて上卓に華瓶一対・蝋燭立・火舎を置く四具足の荘厳も紹介されており、同じ真宗でも荘厳の細部は本山の作法に沿って整えます。
曹洞宗・臨済宗(禅宗)
ご本尊は釈迦牟尼仏です。脇侍は曹洞宗では一般に向かって右に道元禅師、左に瑩山禅師、臨済宗では達磨大師などを祀りますが、寺院によって異なる場合があります。読経では木魚を用い、曹洞宗の公式解説では木魚を向かって右、りんを左に置く配置が示されています。過去帳は見やすい場所に置き、毎朝その日の頁を開くことが勧められています。
真言宗・天台宗
真言宗のご本尊は大日如来で、脇侍は一般に向かって右に弘法大師(空海)、左に不動明王を祀ります。天台宗はご本尊の定めが比較的ゆるやかで、阿弥陀如来や釈迦如来を祀ることが多く、脇侍は伝教大師(最澄)と天台大師を掛けるのが一般的とされています。どちらも三具足・五具足、りん、木魚など標準的な仏具を用い、法要の際には五具足で正式に荘厳します。
日蓮宗
ご本尊は文字で書かれた大曼荼羅で、掛け軸として中央に掛け、その手前に日蓮聖人の像を安置する形式が広く行われています。読経(唱題)の際に、木魚の代わりに木鉦(もくしょう)と呼ばれる打楽器を使うことがあるのが特徴です。
価格帯の目安とお手入れ方法
購入時の価格帯の目安
仏具の価格は素材(真鍮・銅器・陶器・漆塗りなど)と大きさで大きく変わります。一般的な家庭用の目安は次のとおりです。実際の価格は地域・仏具店・仏壇の大きさにより異なります。
| 仏具 | 価格帯の目安 |
|---|---|
| 三具足セット | 一般に5,000円〜3万円程度 |
| 五具足セット | 一般に1万円〜10万円程度 |
| りん(りん棒・りん台含む) | 一般に3,000円〜3万円程度 |
| 仏飯器・茶湯器 | 一般に1,000円〜5,000円程度(各) |
| 高坏 | 一般に2,000円〜1万円程度(一対) |
| 過去帳・見台 | 一般に5,000円〜3万円程度(一式) |
| 木魚(ばい・座布団含む) | 一般に5,000円〜5万円程度 |
| 常花 | 一般に3,000円〜3万円程度(一対) |
| 瓔珞・吊り灯籠 | 一般に5,000円〜5万円程度(一対) |
ご本尊・脇侍の掛け軸や仏像は別途で、一般に数千円から十数万円程度まで幅があります。浄土真宗のように本山からご本尊の授与を受けられる宗派もあり、真宗大谷派では寸法に応じた冥加金(授与の費用)が公式に示されています。
真鍮製仏具のお手入れ
金色の真鍮製仏具は、空気に触れると徐々にくすみや緑青(ろくしょう)と呼ばれる青さびが出ます。市販の金属磨き剤を柔らかい布につけて磨くと光沢が戻ります。ただし、色付け(宣徳色など)やメッキ加工が施された仏具は、磨き剤を使うと表面の仕上げが落ちてしまうため、乾いた柔らかい布で軽く拭くだけにとどめます。香炉の灰は定期的にふるいにかけ、線香の燃え残りを取り除くと火のつきがよくなります。
漆塗り・金箔部分のお手入れ
漆塗りの仏具や仏壇の金箔部分は、水拭きや洗剤を避け、毛ばたきでほこりを払うのが基本です。金箔は非常に薄く、布で強くこすると剥がれるおそれがあるため、直接触れないようにします。落ちない汚れや剥がれは自分で直そうとせず、仏具店に修理・洗浄(お洗濯と呼ばれます)を相談するのが安全です。
開眼供養との関係とチェックリスト
仏具の購入と開眼供養
仏壇やご本尊、位牌を新しく購入したときは、僧侶を招いて開眼供養(かいげんくよう・魂入れ・お性根入れ)を行うのが一般的とされています。開眼供養によって、仏像や位牌が礼拝の対象になると考えられているためです。一方、香炉や花立などの一般仏具だけを買い替えた場合は、通常は開眼供養まで行わないことが多いとされています。
浄土真宗では魂を入れるという考え方をしないため、開眼供養とは呼ばず、入仏法要(にゅうぶつほうよう)や御移徙(おわたまし)と呼ばれる慶事の法要を営みます。いずれの場合も、お布施は一般に1万円〜5万円程度が目安とされますが、地域や寺院との関係により異なるため、直接寺院に確認するのが確実です。
仏具をそろえるときのチェックリスト
- 自家の宗派を確認した(本家や菩提寺に確認するのが確実)
- ご本尊・脇侍の組み合わせが宗派に合っている
- 仏壇の幅・奥行きに合うサイズの仏具を選んだ
- 三具足(香炉・燭台・花立)を基本としてそろえた
- りん・りん棒、仏飯器・茶湯器など日々のお参りに使うものを優先した
- 浄土真宗の場合、位牌ではなく過去帳・法名軸を用意した
- 仏具の色・様式(宣徳色か金色かなど)が宗派の作法に合っている
- ご本尊・位牌を新調した場合、開眼供養(真宗は入仏法要)の日程を寺院と相談した
- 購入前に複数の仏具店で価格と品質を比較した
よくある失敗例・注意点
- 宗派を確認せずに購入した: ご本尊や仏具の様式が合わず、買い直しになる例が多く聞かれます。特に浄土真宗の東西の違いは間違えやすいポイントです
- サイズを測らずに購入した: 五具足をそろえたものの仏壇に収まらない、りんを置く場所がないといった失敗があります。段の幅と奥行きを測ってから選びましょう
- 色付き仏具を磨き剤で磨いた: 宣徳色やメッキの仏具は磨くと変色します。素材が分からないときは仏具店に手入れ方法を確認しましょう
- 位牌をご本尊より高い位置に置いた: 一般に位牌はご本尊より低く置くのが作法とされています
- すべての仏具を一度にそろえようとした: 必須の仏具から順にそろえれば十分です。迷ったら菩提寺か仏具店に相談しましょう
まとめ
仏具の基本は、香炉・燭台・花立の三具足で、法要の際は燭台と花立を一対にした五具足で正式に飾ります。りんや仏飯器、過去帳などの仏具は、宗派の作法と仏壇の大きさに合わせて優先順位をつけてそろえれば十分です。浄土真宗は位牌や木魚を用いないなど他宗派との違いが大きく、本願寺派と大谷派でも仏具の色や形が異なります。購入前に宗派と寸法を確認し、ご本尊や位牌を新調したときは開眼供養(真宗では入仏法要)について菩提寺に相談しておくと安心です。
よくある質問
Q. 三具足と五具足の違いは何ですか?
三具足は香炉・燭台・花立が各1つの基本の組み合わせで、日常のお参りに用います。五具足は燭台と花立を一対(2つずつ)にした5点の組み合わせで、法要など改まった場面の飾り方とされています。
Q. 木魚はどの宗派でも必要ですか?
必要とは限りません。浄土真宗では一般に木魚を使いません。日蓮宗では木魚の代わりに木鉦を用いることがあります。曹洞宗など禅宗では読経に合わせて木魚を使うのが一般的です。
Q. 仏具を新しく購入したら開眼供養は必要ですか?
ご本尊(仏像・掛け軸)や位牌を新調した場合は、菩提寺に開眼供養(魂入れ)を依頼するのが一般的とされています。香炉や花立などの一般仏具のみの買い替えでは、通常は法要まで行わないことが多いです。判断に迷う場合は菩提寺に相談しましょう。
Q. りんは何のために鳴らすのですか?
読経の始まりや区切りを示すための鳴物です。澄んだ音で場を整える意味があるとされています。鳴らす回数や作法は宗派により異なるため、菩提寺の作法に合わせるのが安心です。